大宮台地の湧水 ほか街歩き、お出かけの記録

地元大宮台地の湧水を中心に、地理、地形好きのお出かけの記録です。

さいたま市西区 秋葉の森総合公園の湧水と湿地

2021年最初の記事は、指扇支台、秋葉の森総合公園内の自然観察エリアにある湧水と湿地のご紹介です。

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指扇支台は台地の西側。鴨川の谷に隔てられている。

大宮台地の西の端にあたる指扇支台も小河川が流れる谷が多くあります。そしてそれらにきちんと名前がつけられています。秋葉の森総合公園は、その中の「指扇辻川」の最上流部にあたります。元々はスポーツ総合公園として計画されていましたが、2000年代に方針を変更して自然環境の保全をするエリアが作られることになりました。現在オープンしているのは7.5haと全体計画(約20ha)の3割程度との事。公園内には大宮アルディージャの練習場ともなっているサッカー場や遊具のエリア、バーベキュー広場もありますが、今回は自然観察ゾーンをご紹介します。

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秋葉の森総合公園の案内板(2020年現在オープンしているエリア)

駐車場横の谷の湧水 

公園の入り口、駐車場の横、公園外のエリアになりますが、ここにも湧水が流れています。ここは浅い支谷になっていますが、最上流部ということもあり、ほとんど高低差はありません。

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駐車場横の湧水(2020年12月20日撮影)

公園内を暗渠で通過し、林の中に出た流れはそこそこの水量になっています。

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林の中の流れ(2020年12月20日撮影)

自然保護ゾーンの池と雑木林

林の中の観察路を抜けると池が見えてきます。ここは川の流れをせき止めて池をつくっているようです。

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2020年2月11日撮影

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堰から流れ出る水 2020年2月11日撮影

園路の下は野生動物用のトンネルも作られています。

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園路の下のトンネル(2020年2月11日撮影)

池に流れ込むのは「指扇辻川」の源流。自然観察エリアだけあって、自然度が高い流れ。モツゴか何かと思われる小魚が泳いでいました。

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2020年2月11日撮影

こちらは指扇辻川南側の雑木林の園路。林床は手入れされていて、かつてこの辺りにあった二次林を維持するよう管理されています。

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2020年2月11日撮影

指扇辻川の源流へ

雑木林の中を抜けると、谷頭の湿地帯です。アシは定期的に刈込されて管理されているようです。

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2020年12月20日撮影 ちょうど刈り込み作業中だった

上流側から湧き出して、湿地の方に流れています。

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2020年12月20日撮影

12月に訪ねた際は下流側の水面には氷が張っていましたが、上流側は地下水温が高いためか、日陰でありながら凍っていませんでした。

 

続いて散策路を左に折れ、もう一方の谷、指扇辻川の最上流部を望みます。

 

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2020年2月11日撮影

湿地の先、指扇辻川の最上流部。保全地域のため立ち入ることはできませんが、湧水池がありそう。この辺り、大宮台地の湧水地点としては標高が高めな11~12m。周囲の台地は20m強くらいですので、高低差はかなり緩やか。

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2020年2月11日撮影

なお、公園の北側はすぐ上尾市となりますが、そちらはかなり盛り土されていて荒れ地が目立っています。さいたま市側だけでも保全が出来て良かったと思います。

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ピクニック広場より 左奥が上尾市のエリア

(2020年2月11日撮影)

秋葉の森総合公園の拡張予定エリアもなかなか素晴らしい湿地が広がっています。周辺には公園の名前の由来となった秋葉神社もあり、セットで散策もおすすめです。

詳細は以下の記事にて

iko.hatenablog.jp

川口市道合 窪下の湧水群

「大宮台地の湧水」と言いながら、岩槻支台ばかり続いたので、今回は川口市内の鳩ヶ谷支台の湧水をご紹介します。

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大宮台地南部の概観図。鳩ヶ谷支台は南端。

大宮台地はいくつもの中小河川が間を流れ、いくつかの「支台」に分かれていますが、鳩ヶ谷支台は一番南端にあたります。いちばん南の下流側にありながら、台地の標高は比較的高く、高低差があるのが特徴です。

また谷の密度が高く、湧水(過去湧水があった場所も含めて)が比較的多いです。

今回は鳩ヶ谷支台の西側、川口市道合の湧水をご紹介します(2020年3月・6月に訪問)。谷の小字から「窪下の湧水群」と呼ぶことにします。「群」と呼ぶにはささやかな流れではありますが、谷のあちらこちらから水が湧き出している様子が確認できる、今となっては貴重な場所です。

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付近の地図(拡大)

谷の入り口(地図中A)

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谷の入り口。湧水の流れ。右側の水路は、奥の斜面の際から流れ出しているようです。左側の流れはどこから始まっているか確かめてみました。

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谷の真ん中に湧出点があって、小さな湿地帯のようになっています。

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セリ(芹)が生えていました。春の七草のひとつで栽培もされますが、自生しているものです。訪れた3月はちょうど食べごろでしょうか。よく似た「ドクゼリ」もあるようなので要注意です。

 

水路に合流する湧水群(地図B)

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2020年3月21日撮影

谷の入り口では暗渠になっていた水路。途中ではしご式の開渠となります。流れている水は湧水の割合も多いものの、台地上の生活排水が混ざって、見た感じはいわゆる「ドブ」。自然度も低くてちょっと生き物には住みにくい水路ですね。

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2020年3月21日撮影

水路には湧水からの流れが合流します。水量もなかなか。ここでバケツのようなもので水を受け止めているのはなぜなのか?

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2020年3月21日撮影

道路脇の湧水の流れ。

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2020年6月21日撮影

湧出点の1つ。窪みのところからチョロチョロと湧き出していました。

 

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宅地化されたところもありますが、大部分が農地として残され、その中に何本も湧水の流れが残ります。

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2020年6月21日撮影

ここは畑の水くみ場として利用されていました。なかなかの水量があります。

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2020年6月21日撮影

湧水では野鳥も水浴びしていました。これはカワラヒワ

 

谷頭の源流の湧水(地図C)

谷頭へとさかのぼると、斜面に沿ってはしご型開渠に流れ込む小さな流れがあります。谷に中央の水路はもっと上流から流れていますが、台地上からの排水路のようです。

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2020年3月21日撮影

更に上流の方へ、小道を回り込みます。

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2020年3月21日撮影

この辺りが源流部。近づけなかったですが、斜面の下から湧き出しているようです。

 

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なお、谷のすぐ西側には利根川から引水する見沼代用水東縁が流れます。ただ谷の中には水を引けず、かつてはこれらの湧水を利用して水田が作られていたようです。

徐々に家が建ち並んで来ていますが、元々の湿田に水が湧いていた名残りを留める貴重な場所ではないかと思います。

 

さいたま市岩槻区南下新井「宮前の湧水」

今回は岩槻支台、私が個人的に「宮前の湧水」と名付けた湧水のご紹介です。

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岩槻支台の南西部に位置する。

岩槻区南下新井、この辺りは台地に何本も谷が入り組んでいます。そのうちの1つ、南下新井久伊豆神社の東側の斜面下に、かつて湧水が利用されていた景観を残しているのではないかという場所があります。

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南下新井久伊豆神社 2019年12月8日撮影

久伊豆神社は浅い谷に面した台地のへりに鎮座しています。

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2019年12月8日撮影

神社の東側の小道を入っていくと左側は台地の緩い斜面に農家のお宅が3軒ほど並び、右側は低地となっています。

3軒目お宅の前の小道を右に折れると湧水が現れました!

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明確に湧出するポイントは見えませんが、下流の水路には豊富に水が流れ出しています。

地形図で湧水がありそうな場所だと期待はしていたのですが、こんなにきれいな形で残っているとは!感動です。 

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しげしげと観察をしていると、近くの畑で農作業されている方に声をかけられました(何をしているのかと思いますよね……)。

お話を伺うと、同じような湧水はこの辺りに他にもいくつかあったが、盛り土で埋められたりして残っているのはここだけとのこと。ここの北側の谷には大きな残土の山がありました。あのあたりにも湧水があったのでしょうか。ここは唯一残った貴重な湧水です。

台地の緩い斜面に農家の建物があり、その南側から湧き出して、かつては用水として利用したり、畑や田んぼを潤していたのではないかと思います。斜面といってもかなり高低差が少ない、大宮台地らしい湧水です。土の道と畑、斜面林の景観がとても美しい。

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2019年12月8日撮影

とても気に入ったこの湧水、ここの小字の名前を取って、勝手に「南下新井宮前の湧水」と名付けて、季節ごとに観察してみることにしました。

 

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2020年2月11日撮影

2月。2019年秋の多雨の影響が少なくなり、水量はやや減っています。

 

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 すっかり冬枯れかと思いきや、流れの中に小さな花が。湧水の水温が高いせいか、早くもタネツケバナが花を咲かせていました。

 

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2020年5月5日撮影

5月。新緑の季節。道路わきのツツジが花を咲かせています。

 

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流れの中も藻類や水草で緑が多くなりました。

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2020年7月5日撮影

夏。緑が一層濃くなりました。

 

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2020年9月22日撮影

流れの中は、やや砂っぽい感じです。大宮台地の湧水は、「常総粘土層」の上の砂層が帯水層となっているのではと思いますが、その砂でしょうか。

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2020年11月29日撮影

そして1年たった2020年晩秋。昨年よりは水量は少ないですが、少雨でもきちんと湧き出しています。夏のうちに左側の畑にあった丸い木が切られ少し殺風景になりましたが、湧水の流れは変わらず。長くこのままで残ってほしいものです。


これからも定期的に訪問を続けたいと思います。

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湧水付近の色別標高図 北側の山は残土の山

この湧水の北側の谷の上流にも湧水があります。

くわしくはこちらの記事をご覧ください。

iko.hatenablog.jp

 

さいたま市岩槻区 箕輪の湧水

 

本ブログを最近のライフワークである「大宮台地の湧水巡り」に模様替えしようと、記事を書き始めました。まずは生まれ育った実家に近い岩槻区箕輪の湧水のご紹介です。

大宮台地の東端、岩槻支台の綾瀬川に面した斜面下の湧水です。

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大宮台地全体図。岩槻支台は綾瀬川と元荒川の低地に挟まれる。

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岩槻支台の拡大図 綾瀬川の低地に面する崖線の湧水

久伊豆神社下の湧水(?)池

台地の西側のへりに建つ箕輪久伊豆神社。その横の下り坂を下りていくと右側に立派な旧家が見えてきます。この辺りの古くからの家はみな台地上にありますが、こちらのお宅は台地の中腹にあります。

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坂道を下ると旧家が見えてくる(2020年5月17日)

そして旧家の道を挟んで反対側の木立の中に直径十数メートルくらいの小さな池が。

 

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水の注ぎ口は見つからず、台地斜面下にあることから湧水の池だと思われます。池の中には錦鯉が泳いでいますが、そのせいでちょっと濁りがち。

 

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台地下の小道から、旧家を望みます。池はこのお宅の私有地で現在管理されているのではと思います。

 

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2020年1月2日撮影

こちらは冬場に低地側から撮った写真。水田の向こうが池になります。小さな谷頭の湧水なので、溜め池を兼ねていたのではとか、この池を持つお宅は有力な家柄だったのではなどいろいろな想像がめぐります。

崖線の湧水

台地斜面下を北側にたどるといたるところで水が沁みだしています。

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2020年1月2日撮影

以前はもこもこと湧き出る湧水があったのですが、斜面がソーラーパネルや資材置き場になって湧出量は少なくなってしまいました。それでも沁み出る水は小川となって流れます。

 

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2020年1月2日撮影

 ここの流れは赤く染まっていました。鉄バクテリアの影響のようです。ちょっとびっくりしてしまう色合いですが、縄文人もここから赤色の塗料のベンガラを取り出していたというもの。ちなみに台地上は縄文の遺跡が連なり、当時からこれを利用していたのかなあと想像がふくらみます。

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水路に発生した鉄バクテリア 2020年1月2日撮影

さらに北上すると斜面林が残るエリアとなります。

斜面下は運送会社の車庫。その合間から始まる水路でも水が湧き出しています。

 

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2020年1月2日撮影

 

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2020年5月17日撮影

コンクリートの下から湧き出ている(あるいはどこかにつながっている?)水が流れます。5月に訪れた時には小エビ(スジエビ?)が泳いでいました。

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2020年2月24日撮影

その先に行くと斜面下に大きな水たまりが。ここも水が沁みだしているようです。

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2020年2月24日撮影

ここは渇水期には枯れてしまうようですが、2020年は冬季も常に水をたたえていました

台地の斜面林はこの先東北自動車道切通しで寸断されてしまいますが、その工事の際に縄文時代の遺跡が発掘されています。この湧水を利用して当時から人が暮らしていたいたのでしょう。

新潟村杉温泉「風雅の宿長生館」と福島潟「蔵の宿菱風荘」(2019年10月)

免許を返納し、高齢となった父に代わり、両親の郷里の新潟まで車を出してきました。当初はお墓参りと親類まわりに合わせて、両親を連れて少し観光をと思っていたのですが、伯母が入院したということで、叔母も乗せて4人でお見舞いやら親類挨拶やらをしてきました。

さいころは親類宅に泊まっていたのですが、各親類宅も世代が変わり、従兄弟と奥さんの代になって、なかなか泊めてもらうわけにもいかず、近年は宿をとるようになりました。

1.風雅の宿長生館

1泊目は村杉温泉長生館です。村杉温泉は以前環翠楼に泊まったことがありましたが、こちらは初めて。そこそこの価格帯なので、なかなか泊まる機会がなかったのですが、今回は直前割引にクーポンも使えて、かなりお得な料金での宿泊です。

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こちら庭園側から見た本館と離れ「松濤亭」。

長生館には大きな庭園(4,000坪あるらしい)があり、見事です。天気が悪くあまり散策出来ずに残念。(宿の下駄を借りて歩こうとしたら、豪快に滑って転んで散策を自粛したのもあります…)

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すぐ山が迫っていて、傾斜も活かした庭園といった感じでしょうか。庭園内に離れや貸し切り露天風呂等も点在していて、散策できる範囲はそこまで広くはなさそうです。

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奥に見えるのは松濤亭。ここは唯一大正築の建物がそのまま残ります。もう少ししたら紅葉が見事でしょうね。一度泊まってみたい。

 

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こちらは露天風呂付離れの「五頭緑水庵」。なかなか風情があります。

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そして宿泊した本館。鉄筋5階建てですが、フロントが2階なので、ちょうどいい規模感の建物だと思います。

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客室窓からの風景。泊まったのは4階だったので、庭園というよりは木々が見える感じ。庭園を楽しみたいならこの宿の場合は低層の客室の方がいいのかもしれません。とは言え一面の緑に癒されます。

宿にあった「にいがた庭園街道」のパンフレット。

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こちらの対象施設に長生館の庭園も入っていました。国交省の「ガーデンツーリズム」制度に登録されているとか。長生館以外には豪農の屋敷の庭園等が紹介されていて、この庭園めぐり今度ゆっくりしてみたいです。

teienkaido.niigata.jp

さて、次は温泉。

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泉質は単純放射能温泉、いわゆるラジウム泉です。ラジウム含有量が日本で有数とPRしていましたが、確かに宿にあった分析結果を見ると源泉は有名な三朝温泉等を上回る相当なもの。配湯される間にどうなるかというのはありますが、内湯は一部循環しながらも新鮮なお湯が注がれていて、さっぱりとしたいいお湯です。

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 露天風呂に行くには写真のようなトンネルを通っていきます。コンクリートの壁にカラフルな絵が描かれています。

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露天風呂です。庭園露天風呂と聞いていたのですが、小山に囲まれた箱庭のような場所にあります。湯船は広い!そして左側の小さな浴槽は加温しない源泉がそのまま注がれています。源泉は20℃台なので、体感的には水風呂。温かい風呂で体を暖めて、源泉に入って冷やすのを繰り返してみました。なお、温かい方の浴槽は循環で、お湯の質は内湯の方がいい感じです。

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なお、ロビーでは飲泉もできます。こちらは「庭園に湧いている清水を鑑定してもらったら温泉に該当するラドンを含んでいた」というもので、飲んだ感じは冷たい湧き水(泉温11度)。とてもおいしいです。周辺の花崗岩が出す放射線の影響で、通常の湧き水にも一定のラドンが含まれているようです。原発事故の後はホットスポット扱いされたり苦労も多かったのではと思います。

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そんなわけで、お土産物屋さんでは周辺で採れる花崗岩を「自宅でラジウム泉が楽しめるグッズ」として売っていました。地元の石材店さんなかなかいい商売になっているそうです(叔母の同級生がいるとか…)。

夕食です。

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夕食のお品書き。地元の食材をうまく組み合わせていて工夫されています。

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こちらは「本日の焼き魚」。鰆に焼き茄子、食用菊のかきのもとを添えています。こういう料理がおいしいのに料理長の実力を感じます。

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こちらは鯉のから揚げ。きのこのあんかけが乗っています。当然臭みなど全く感じず、美味。

みんなとてもおいしく、両親たちも満足していました。


 2.蔵の宿菱風荘

2泊目は新潟市北区(合併前の豊栄市)福島潟の湖畔にある「蔵の宿菱風荘」に泊まりました。こちらは公共の宿ということで素泊まりですが、一泊3,000円台と格安。正直あまり知られて予約が取りにくくなったら困る…

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本館と「宿泊蔵」と名付けられた和風のコテージの泊まることができます。

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宿泊したのはこちら「白雁」のお部屋。和室にバストイレ・キッチンもついていて自炊も可能です。

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天井には立派な梁があって、新潟の日本建築らしい立派な建物です。

お部屋にちゃんとお風呂がありますが、今回は車で15分ほどの月岡温泉共同浴場「美人の泉」に行ってきました。

共同浴場「美人の泉」|新潟の観光スポット|【公式】新潟県のおすすめ観光・旅行情報!にいがた観光ナビ

こちらはあまり広くなく地元の共同浴場といった趣ですが、源泉がドバドバ注がれていて泉質は抜群。昔バスクリンの色が人工的だと思っていましたが、天然でこんなにきれいな緑色になるのかと思うようなきれいな硫黄泉です。2日連続の温泉で大満足。

こはちょうど月岡断層帯に沿って温泉が連なっています。

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この国道290号線に沿って北から月岡、出湯、今板、そして昨日泊まった村杉と温泉が続きます。直線的な谷があって五頭連峰から流れる川はここで横ずれしていて、典型的な断層地形です。この断層、新発田-小出構造帯といってフォッサマグナの東端との説もあるようです。

 

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翌朝は福島潟でバードウォッチングがてら散歩。この日やっと五頭連峰がくっきり見えました。

すでにカモがかなり飛来していましたが、コガモが中心。福島潟は日本一のオオヒシクイの越冬地ということで雁の姿を探してみますが見つからず。すでに数羽飛来しているようですが、朝早く餌を探しに飛び立っていくそうです。

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水面・湿地の向こうに山が見えて、かつての越後平野はこんな風景だったのだろうと思います。たくさんの潟湖を干拓して、今の一大稲作地帯となっています。

とおくに白鳥の群れが飛んでいきました。白鳥の飛来地瓢湖も近く、冬になると周囲の田んぼには多くのハクチョウが舞いおります。ちょうど今年初見だったようで、ちょうど北の国からついたところのようでした。

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宿に戻ると、他の棟に泊まっていた子どもたちが芝生で元気に遊んでいました。バーベキューもできるし、家族連れにもいい宿だとおもいます。

どちらの宿も両親や伯母にも好評でした。親類廻りがなかなかハードスケジュールでしたが、いい親孝行ができたかな。

 

東北の古い街並み 米沢市芳泉町、金山町、横手市増田(2019年8月)

帰省2日目、白布温泉の西屋を出て、岩手大沢温泉に向けて北上します。

最短ルートは東北道を北上ですが、今年開通した東北中央道利用しながら国道13号を北上します。

米沢はゆっくり見る時間はなかったのですが、地図に「芳泉町の武家屋敷」の表記を見つけたので経由してみることにしました。

1.米沢 芳泉町の武家屋敷

武家屋敷と言っても、米沢市街からは外れています。米沢に移封された上杉氏がすべての家臣団を城下町には住まわせられず、下級武士は周辺部に集住させました。そのひとつが芳泉町との事です。知らなけば農村と思ってしまいそうです。

ちょうど直江氏が整備した「直江石堤」の下流に位置していて、水防上重要な場所のようです。

ここの特徴は石垣とそこに植えられた生垣。

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ウコギの生垣で、上杉鷹山が推奨し、新芽や根を食料にしたとのこと。やたら有名な人が絡んでいます。さすが上杉氏の城下町。

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茅葺きの家も残っています。思い付きで寄ってみたところでいろんな発見があるとうれしいです。

先は長いので、東北中央道に乗り北上。尾花沢で一般道に下りますが、その後も東北中央道の無料区間がところどころにあり、お得な感じ。私は、高速は単調でつまらないと思ってしまうのでちょうどいい感じ。

2.山形県金山町の街並み

新庄を過ぎて北隣の町、金山を通ります。こちらは街並み・景観を守る取り組みをしているというのをどこかで見て気になっていました。

町内に入ると、白壁と切り妻屋根の家が並び、落ち着いた景観になります。景観条例で、新たに建てる家も統一したデザインになるように取り組んでいるようです。日本で自治体あげてというのはめずらしいのではないでしょうか。素晴らしいことです。

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中心部で少しだけ下りてみました。

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洋館は旧金山郵便局で今は「交流サロンぽすと」になっています。

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こちらは「蔵カフェ」。経営するカネカさんのHPが良かった。

kaneka405.com

 さらに北上し、主寝坂峠を越えて秋田県に入ります。

 

3.横手市増田 内蔵のある街並み

国道13号、東北中央道から少し外れて、重要伝統的建造物保存地区の増田町に立ち寄りました。
こちらは明治以降の商家の街並み。

 

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国道13号、東北中央道から少し外れて、重要伝統的建造物保存地区の増田町に立ち寄りました。

こちらは明治以降の商家の街並み。

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通りから見ると、切妻屋根が正面に来る商家が並んでいて、先ほどの金山町と似た景観です。ただ、こちらの特徴は「内蔵」があるということ。

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こちらは「蔵の駅」となっている旧石平金物店の内蔵。店の建物の裏に蔵があるのですが、ずっと屋根が続いています。庇の下の屋内にあるから「内蔵」なんですね。秋田県の内陸でかなりの豪雪地帯なので、敷地内の移動にも屋根が必要だったのではと思います。

 

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内部は「座敷蔵」として生活の場だったとの事。住環境としてはどうだったのでしょうか。暗くて湿気っぽいイメージがあるけど、温度差が少なくて快適なのかなあ。

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次は旧村田薬局を見学させていただきました。こちらは他と異なり、店蔵の建物です。

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棚倉の二階は薬品を保管する倉庫として利用していたそうです。「千と千尋の神隠し」で出てきたような薬箪笥が残っています。

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他にも昭和レトロな製薬会社のおまけ、ノベルティ類もたくさん展示してあってなかなかおもしろい。

また店蔵の部分には地下室もあって、そちらも見学させていただきました。保冷庫として使用していたそうです。

 

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そしてこちらにも店舗の奥には立派な内蔵がありました。ご主人のお母様がつい最近まで暮らしていたとのこと。

その奥にも建物があり、奥行きが長い!100mくらいはありそうです。

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家の間を用水路が流れていますが、この奥、突き当りの先まで1軒の敷地です。

他にも公開されている家がたくさんありましたが、そろそろ今日の宿泊先の大沢温泉に向かいます。

増田は思った以上に見ごたえのある街でした。

 

茅葺き・伝統の温泉宿(1)白布温泉 湯滝の宿 西屋 (2019年8月)

毎年、北東北にある妻の実家への帰省を兼ねて旅行をしています。昨年日本海側をめぐりましたが、今年は福島、山形、秋田と内陸を北上することにしました。途中の宿は福島県白布温泉の西屋旅館と、岩手県大沢温泉湯治屋。どちらも江戸期からの建物が残る伝統ある温泉宿です。

まずは東北道を北上。混雑を避けて平日に出たのに事故渋滞で思わぬ時間ロス。白河インターを下りて、白河ラーメンの遅めの昼食です。

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あまり経路から外れない場所にあるからと選んだ「月の家」さんのねぎラーメン。うまし!

白河からは一般道で北上します。国道294号から県道猪苗代湖南線へ。この道は猪苗代湖の東岸を走っていてなかなかの景色。写真撮れなかったのが残念。

道の駅猪苗代で休憩して裏磐梯檜原湖畔を走ります。順調に来ていたら少し寄り道しようかと思っていたのですが、残念。

ここから旧有料道路の「西吾妻スカイバレー」で峠越えです。

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「東鉢山七曲り」の駐車スペースからは檜原湖とその先の磐梯山(雲がかかってしまいましたが)が見えて絶景でした。

つづら折りの道を登り白布峠を越えます。

白布温泉は山深い中に突如現れました。

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西屋旅館に着きました。入母屋造りの茅葺屋根が趣深い。

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茅葺の建物自体、かなり珍しいものになってしまいました。維持していくのは大変だろうと思います。

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木造の建物が山の緑に映えます。

 

かつては東屋、中屋と茅葺の宿が3軒並んでいたそうですが、2003年の火災により焼失してしまったとの事。残念です。

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部屋にあった解説

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かつて中屋だったところは空き地になり「中屋」と書かれた小屋?だけが残っています。今は別の場所の別館で営業されています。東屋はかつての外観のイメージも残しつつ建て替えた建物で営業されています(奥の建物)。

 

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館内は都度改修もされているようで、とてもきれい。

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囲炉裏のある談話室。いい感じ。

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館内は、靴を脱いでそのまま入ります。スリッパって実は結構じゃまで歩きにくかったりするので、今の時期はかえって快適に感じました。

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泊まったお部屋はこちら「滝」。税別で11,000円と一番安い部屋でしたが、二の間もあって広さは十分。

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奥の窓からは部屋の名前のとおり、沢の水が滝となって落ちているのが見えます。

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ちょうど湯屋の横に位置しているので、名物の滝湯に注がれるお湯も見えました。

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二の間からは中庭側が見えました。奥が茅葺の母屋、右が湯屋の屋根になります。予約ページでは「眺望はほとんどない」と書かれていましたが、十分でないかと。

ちなみにエアコンはありませんが、夜は涼しくなったので問題ありませんでした。滝の音が結構するのが人によっては気になるかも。

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こちらは名物の湯滝。想像を上回る勢いで、ドバドバと源泉が注がれていました。熱いとの情報がありましたが、ちょうど良い湯加減に調整されていました。湯船はさほど大きくないので、掛け流しどころか、数分でお湯が全部入れ替わりそうな勢いです。

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洗い場にはシャワーなどは無く、湯船からお湯をすくって使う昔ながらのスタイル。でも妻や娘によると温泉水のおかげか髪がしっとりとして良い感じだったとのこと。

食事(写真撮り忘れました)は郷土料理の冷や汁や、米沢牛の陶板焼きなど地の物を活かしつつ美味しいものでした。ご飯が自分の好きな時によそえるのも私たちにとってはちょうど良かったです。

あと、西屋旅館の名物?がこちらの看板猫。

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 「おんでん」と「かぐら」の2匹が、朝ロビーにやってきます。「おんでん」はシャイでなかなか写真を撮らせてくれませんでしたが、「かぐら」は人懐っこくてなかなかの営業マン。

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こちらはおんでん。

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かぐら。写真の腕が悪いですが、なかなかの美猫です。

建物は風情があり、温泉も最高。食事もおいしくて猫もかわいい素晴らしい宿でした。部屋にトイレが無かったり、シャワーが無かったり、設備面では最新のホテルに劣りますが、それを上回る価値ある宿だと思います。

また泊まりたいけど、今度は白布温泉の他の宿も気になるなあ。