大宮台地の湧水 ほか街歩き、お出かけの記録

地元大宮台地の湧水を中心に、地理、地形好きのお出かけの記録です。

さいたま市岩槻区南下新井「宮前の湧水」

今回は岩槻支台、私が個人的に「宮前の湧水」と名付けた湧水のご紹介です。

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岩槻支台の南西部に位置する。

岩槻区南下新井、この辺りは台地に何本も谷が入り組んでいます。そのうちの1つ、南下新井久伊豆神社の東側の斜面下に、かつて湧水が利用されていた景観を残しているのではないかという場所があります。

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南下新井久伊豆神社 2019年12月8日撮影

久伊豆神社は浅い谷に面した台地のへりに鎮座しています。

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2019年12月8日撮影

神社の東側の小道を入っていくと左側は台地の緩い斜面に農家のお宅が3軒ほど並び、右側は低地となっています。

3軒目お宅の前の小道を右に折れると湧水が現れました!

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明確に湧出するポイントは見えませんが、下流の水路には豊富に水が流れ出しています。

地形図で湧水がありそうな場所だと期待はしていたのですが、こんなにきれいな形で残っているとは!感動です。 

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しげしげと観察をしていると、近くの畑で農作業されている方に声をかけられました(何をしているのかと思いますよね……)。

お話を伺うと、同じような湧水はこの辺りに他にもいくつかあったが、盛り土で埋められたりして残っているのはここだけとのこと。ここの北側の谷には大きな残土の山がありました。あのあたりにも湧水があったのでしょうか。ここは唯一残った貴重な湧水です。

台地の緩い斜面に農家の建物があり、その南側から湧き出して、かつては用水として利用したり、畑や田んぼを潤していたのではないかと思います。斜面といってもかなり高低差が少ない、大宮台地らしい湧水です。土の道と畑、斜面林の景観がとても美しい。

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2019年12月8日撮影

とても気に入ったこの湧水、ここの小字の名前を取って、勝手に「南下新井宮前の湧水」と名付けて、季節ごとに観察してみることにしました。

 

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2020年2月11日撮影

2月。2019年秋の多雨の影響が少なくなり、水量はやや減っています。

 

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 すっかり冬枯れかと思いきや、流れの中に小さな花が。湧水の水温が高いせいか、早くもタネツケバナが花を咲かせていました。

 

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2020年5月5日撮影

5月。新緑の季節。道路わきのツツジが花を咲かせています。

 

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流れの中も藻類や水草で緑が多くなりました。

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2020年7月5日撮影

夏。緑が一層濃くなりました。

 

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2020年9月22日撮影

流れの中は、やや砂っぽい感じです。大宮台地の湧水は、「常総粘土層」の上の砂層が帯水層となっているのではと思いますが、その砂でしょうか。

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2020年11月29日撮影

そして1年たった2020年晩秋。昨年よりは水量は少ないですが、少雨でもきちんと湧き出しています。夏のうちに左側の畑にあった丸い木が切られ少し殺風景になりましたが、湧水の流れは変わらず。長くこのままで残ってほしいものです。


これからも定期的に訪問を続けたいと思います。

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湧水付近の色別標高図 北側の山は残土の山

この湧水の北側の谷の上流にも湧水があります。

くわしくはこちらの記事をご覧ください。

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