大宮台地の湧水 ほか街歩き、お出かけの記録

地元大宮台地の湧水を中心に、地理、地形好きのお出かけの記録です。

川口市道合 窪下の湧水群

「大宮台地の湧水」と言いながら、岩槻支台ばかり続いたので、今回は川口市内の鳩ヶ谷支台の湧水をご紹介します。

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大宮台地南部の概観図。鳩ヶ谷支台は南端。

大宮台地はいくつもの中小河川が間を流れ、いくつかの「支台」に分かれていますが、鳩ヶ谷支台は一番南端にあたります。いちばん南の下流側にありながら、台地の標高は比較的高く、高低差があるのが特徴です。

また谷の密度が高く、湧水(過去湧水があった場所も含めて)が比較的多いです。

今回は鳩ヶ谷支台の西側、川口市道合の湧水をご紹介します(2020年3月・6月に訪問)。谷の小字から「窪下の湧水群」と呼ぶことにします。「群」と呼ぶにはささやかな流れではありますが、谷のあちらこちらから水が湧き出している様子が確認できる、今となっては貴重な場所です。

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付近の地図(拡大)

谷の入り口(地図中A)

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谷の入り口。湧水の流れ。右側の水路は、奥の斜面の際から流れ出しているようです。左側の流れはどこから始まっているか確かめてみました。

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谷の真ん中に湧出点があって、小さな湿地帯のようになっています。

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セリ(芹)が生えていました。春の七草のひとつで栽培もされますが、自生しているものです。訪れた3月はちょうど食べごろでしょうか。よく似た「ドクゼリ」もあるようなので要注意です。

 

水路に合流する湧水群(地図B)

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2020年3月21日撮影

谷の入り口では暗渠になっていた水路。途中ではしご式の開渠となります。流れている水は湧水の割合も多いものの、台地上の生活排水が混ざって、見た感じはいわゆる「ドブ」。自然度も低くてちょっと生き物には住みにくい水路ですね。

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2020年3月21日撮影

水路には湧水からの流れが合流します。水量もなかなか。ここでバケツのようなもので水を受け止めているのはなぜなのか?

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2020年3月21日撮影

道路脇の湧水の流れ。

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2020年6月21日撮影

湧出点の1つ。窪みのところからチョロチョロと湧き出していました。

 

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宅地化されたところもありますが、大部分が農地として残され、その中に何本も湧水の流れが残ります。

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2020年6月21日撮影

ここは畑の水くみ場として利用されていました。なかなかの水量があります。

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2020年6月21日撮影

湧水では野鳥も水浴びしていました。これはカワラヒワ

 

谷頭の源流の湧水(地図C)

谷頭へとさかのぼると、斜面に沿ってはしご型開渠に流れ込む小さな流れがあります。谷に中央の水路はもっと上流から流れていますが、台地上からの排水路のようです。

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2020年3月21日撮影

更に上流の方へ、小道を回り込みます。

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2020年3月21日撮影

この辺りが源流部。近づけなかったですが、斜面の下から湧き出しているようです。

 

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なお、谷のすぐ西側には利根川から引水する見沼代用水東縁が流れます。ただ谷の中には水を引けず、かつてはこれらの湧水を利用して水田が作られていたようです。

徐々に家が建ち並んで来ていますが、元々の湿田に水が湧いていた名残りを留める貴重な場所ではないかと思います。