大宮台地の湧水 ほか街歩き、お出かけの記録

地元大宮台地の湧水を中心に、地理、地形好きのお出かけの記録です。

川口市 道合~安行領根岸の湧水と寺社 見沼代用水に沿って

 

大宮台地の南端、鳩ヶ谷支台は多くの開析谷に刻まれています。

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大宮台地全体図

今回は鳩ヶ谷支台の西側にある半島状の台地を見沼代用水に沿って、寺社や湧水をめぐります。以前取り上げた「道合窪下の湧水」(川口市道合 窪下の湧水群 - 大宮台地の湧水 ほか街歩き、お出かけの記録 (hatenablog.jp))の南側になります。

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 外環道南側の湧水(地図A)

東京外環道の南側を見沼代用水に沿って進むと、すぐに東に向かう谷があります。

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2020年6月撮影

谷の南斜面はソーラーパネルが並び、奥の方は造成中。これは湧水は埋められてしまったかなと思いましたが……

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2020年6月撮影

手前側の畑の中からは水が出ていました。梅雨時に行ったから水が多かったかもしれませんが、かつての湿田の面影をとどめている感じです。流れのそばにはハナニラが咲いていました。

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2020年6月撮影

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2020年6月撮影

谷の上から。生産緑地地区に指定されていたようですが、農業を続けていくのもなかなか難しいのでしょう……

この湧水もいつまで残るか心配です。

見沼代用水沿いに戻って、斜面林沿いに歩きます。見沼代用水沿いは「緑のヘルシーロード」として整備されています。これをたどれば取水している利根大堰まで行けるはず。総延長は50㎞以上!もあるそうです。

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2020年6月撮影

この辺りは斜面林が手入れされずに鬱蒼としていて、緑のトンネルのようになっていました。

 

妙蔵寺(地図B)

しばらく歩くと台地の上に墓地が見えてきます。台地の岬状の場所に建つ妙蔵寺です。

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2020年6月撮影 墓地の先が妙蔵寺

参道は見沼代用水の手前から。用水を橋で渡って階段を上がります。

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2020年6月撮影

妙蔵寺は、延文三年(1358)開山という日蓮宗の寺院。お寺のHPによると、戸塚安行駅の北側にあった戸塚城の城主、小見山氏が陣屋の守護のために堂宇を建立したのが始まりとの事。

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2020年6月撮影

境内には小山のようなところも。元々の地形なのか、人口の塚なのかは不明。堂宇は度々の火災に見舞われ、現在の本堂は戦後の再建との事。

 

根岸春日神社(地図C)

この先、見沼代用水の西側にも台地の削り残しのような高台があります。元々台地から切り離されていたというよりも、見沼代用水がショートカットするために台地を切り取って開削された可能性が高そうです。用水の東側も低くなっていますが、ここは戦後に土取りで削られたのではないかと思います。

この岬状の台地の先端に春日神社が鎮座しています。

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鳥居は台地下にある 2021年2月撮影

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鳥居の奥の石段 2021年2月撮影

境内の解説によると寛平元年(889)に氏子13戸が奈良の春日大社を勧請したとのこと。源頼朝から寄進を受けたともあるので、なかなかの古社のようです。

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2021年2月撮影

社殿の後ろはすぐ崖になっています。左側もすぐ斜面なので、本当に岬の先にあることがわかります。

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2021年2月撮影

石段の上から見下ろした写真。左奥には芝川が見えます。

この芝川の流路は、かつては「古入間川」と呼ばれる荒川東遷前の入間川(もっと昔は荒川本流)の流れでした。

 

色別標高図で見ると周囲と比べて少し低くなっていてうっすらとかつての流路が低くなっていて追うことができます。

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根岸春日神社と古入間川

 

創建された平安時代は前を流れる「古入間川」を俯瞰できる要衝だったのではと思います。ひょっとするとそれ以前から祭祀の対象だったのではなどと妄想してしまいます。

 

幼稚園のミニ水田(地図D)

再び見沼代用水沿いに戻って北上すると、斜面林の雑木林に囲まれた幼稚園が見えてきます。

幼稚園の手前側はちょっとした谷地形。

その谷に、園児たちが育てているという小さな田んぼがありました。

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2020年6月撮影

田んぼには澄んだ水が張られ、横の水路に水が流れ出ています。地形的に湧水の可能性はありそうですが、稲を育てるためにどこかから水を引っ張っているのかもと6月に最初に訪ねたときは確信が持てませんでした。

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2020年6月撮影

しかし、渇水期の1月に再度訪問したところ、田んぼから水が流れ出しているのを確認。湧水を利用した水田でした。こんなところに大宮台地の伝統的な湿田が残されているとは!

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2021年1月撮影

園の敷地内も自然がいっぱいあり、湧水の田んぼで稲を育てたり、貴重な経験が出来そうな幼稚園です。

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2020年6月撮影

田んぼの奥の方にも池がありました。こちらもどうやら湧水の池のようですね。

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見沼代用水と幼稚園のある斜面林 2020年6月撮影

 

神根トンネル東側の湧水(地図E)

 見沼代用水沿いを歩くと、四車線の第二産業道路と交差します。こちらの道路、台地の下を「神根トンネル」というトンネルで抜けていきます。埼玉県南部では珍しいトンネル。

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2021年1月撮影

第二産業道路が通るところはちょっとした谷地形。その北側の住宅の前に湧水を見つけました。

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2020年11月撮影

コンクリートの下から湧き出しています。

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2020年11月撮影

鉄分が多く、流れはやや赤みがかっています。耕作放棄された荒れ地の中を流れていきます。

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2020年2月撮影

この辺りもかつての湿田の名残りですね。

鳩ヶ谷支台の台地のキワはなかなか見どころが多いです。

ここから東に行くと川口市立グリーンセンターがすぐ近く。ここから北に入る谷は「笹根川」が流れ、湧水がたくさんあるのですが、そちらはまた紹介します。