大宮台地の湧水 ほか街歩き、お出かけの記録

地元大宮台地の湧水を中心に、地理、地形好きのお出かけの記録です。

車中泊一人旅(3)乗鞍高原、白骨温泉湯めぐりと石灰岩地形「隧通し」(2019年4月)

早朝の宿場めぐりを終え、日帰り温泉がオープンする頃を見計らってひと風呂浴びることにしました。

薮原宿から県道で奈川方面へ行くと乗鞍高原白骨温泉までショートカットできそうです。県道沿いに流れる川は木曽川の上流部。下っていくと岐阜・愛知だと思うと遠くに来た感じがします。

峠を越えると今度は信濃川水系。中央分水嶺を超えたことになります。野麦街道に合流してしばらくすると山の中腹に滝が見えました。

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滝壺は木々に隠れていますが、結構な高さがあります。調べてみると落差60mとの事。こんなところに突如滝があるのが不思議です。

まずは乗鞍高原の「湯けむり館」に向かいました。スーパー林道を経由するか迷ったのですが、距離は大差なさそうだったので、158号線経由で行くことにしました。

奈川渡ダムのところで158号に合流。アーチ型ダムの上を渡ります。なかなかの光景なのですが、停まれるところが見つからず通過。

158号はトンネルが古く狭いため、渋滞気味。大型車とすれ違う時は気を使います。

ほどなく県道を左折し、乗鞍高原方面に向かいました。

「湯けむり館」は酸性の硫黄泉のかけ流し。硫黄のにおいが強い白濁のお湯で、いわゆる「温泉らしい」お湯。露天風呂からは乗鞍岳を望めてなかなかの絶景です。

向かいの乗鞍自然保護センターも見学。近くの散策路にはミズバショウが咲いていました。この辺りはまだ初春の雰囲気。

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自然保護センターの展示を見て初めて知ったのが、白骨温泉一帯は中生代石灰岩地帯だということでした。白骨も白濁のお湯のイメージなので、乗鞍火山に由来する硫黄泉だと思い込んでいましたが、石灰分の多いお湯ということで、湯けむり館のお湯とはだいぶ違うようです。

石灰岩固有の地形も見られそうということで、白骨温泉に移動します。

今度はショートカットになるスーパー林道を経由。元有料道路のはずなのに、路面が痛んでガタガタでした。

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白骨温泉に下りる途中、乗鞍岳が良く見えました。3,000m級の山だけあって、まだ冬の装いです。

 白骨温泉では観光案内所の横に車を停めました。日帰り入浴は後にして、石灰岩の面白い地形があるとのことで付近を散策します。

県道を少し下ると右手の斜面に水の流れが見えてきました。

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斜面の洞穴から水が湧き出して、滝になっています。

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鍾乳洞から地下水が流れ出ているんですね。

左側は湯川の渓谷になっています。「隧通し(ついとおし)」を見学できる遊歩道があるので、こちらに向かいます。

「隧通し」は、石灰岩を浸食してできた自然のトンネルで、湯川がそこを通って流れているようです。地図を見るとさっき車を停めたのがちょうどそのトンネルの上。そういえばさっき右手に見えていた川が、いつの間にか左手になっています。

 

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 遊歩道に下りてきました。観光客の姿は無く、倒木も倒れたままです。結構マイナーなのかな?白骨はまだ春はこれからな感じでしたが、緑の季節は気持ちの良い遊歩道なのではと思います。

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行く手に吊り橋が見えてきました。その先は岩壁。川はその下から流れてきているようです。

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遊歩道は吊り橋を渡ったところで行き止まりになっています。そこから上流を見てみると川がトンネルの中から流れ出ていることがわかります。トンネルの先が少し見えました。長さは20mほどだとか。

海などで浸食による洞門を見ることがありますが、これは洞門というより短い鍾乳洞を川が通過している感じで不思議な光景。白骨温泉にこんなところがあるとは知りませんでした。現地に来てみるといろいろな発見があります。

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まだ木々は芽吹いていませんが、代わりに鳥たちの姿が目立ちました。オオルリがちょうど目の前に現れてきれいな青い姿を見せてくれました。(少しそっぽを向かれてしまいましたが…)

 再び遊歩道を上って、観光案内所の前に戻ります。各旅館も日帰り入浴を受け付けていますが、公共野天風呂がちょうど先ほどのトンネルの反対側なので、そこに行ってみることにしました。

改めて戻ってみると、車を停めたのはちょうど先ほどの隧通しの上。道路からは公共野天風呂が見下ろせます。ちなみに、衝立の向こうが男性風呂なのですが、角度によっては道路からよく見えてしまいます。開放的な露天風呂です・・・

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 ここは露天風呂のみ。料金は510円。法面の工事で営業休止しており、3日前の27日に再オープンしたばかりとの事で、ちょうど良かった。景観に配慮した法面工事を実施したようですが、対岸の崖(写真では左側)がやや作り物感が。それでもコンクリートそのままでないのは良いことです。

お湯は硫黄の香りはしますが、炭酸カルシウムが強く、指摘の少ない肌に優しい泉質です。グレーっぽい濁り湯で、湯船や注ぎ口は温泉成分が固まって付着しています。乗鞍岳由来の硫黄分を含んだ温泉水が、石灰岩の岩盤を通ってその成分を溶かし込むのでしょうか。アトピー持ちの自分にはとても良い温泉でした。かつて草津温泉の入浴剤を添加する事件がありましたが、白骨温泉の泉質を考えると、やっぱりそれは違いますね。今はどこも本来の温泉をそのまま使用しているようです。

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野天風呂に向かう階段できれいな青い縞模様の鳥の羽を見つけました。さっき見かけたオオルリの羽かと思いましたが、帰って調べてみると、カケスの羽でした。白骨温泉では地形も温泉も野鳥も満喫できました。ただ今回は特別天然記念物の「噴湯丘」は見らておらず、温泉も旅館ごとに泉質が少しずつ違うようなので、今度来たときは宿泊もしてゆっくりしてみたいです。

帰りも気ままに一般道でのんびり帰りました。

国道254号は松本トンネル、三才山トンネルの2つの有料のトンネルを利用。高速を利用するとしても、松本からはこちらを経由して上信越道に乗る方がたいていの場合最速のルートになります。

佐久からは基本的に再び中山道を走行。

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こちらは小田井宿。右側の立派なお宅は本陣跡だそうです。

この後、追分宿を通過した後、軽井沢はさすがに大混雑なのでバイパスを経由しましたが、松井田、安中と旧道を走ってみました。18号線が混雑気味だったこともあり、かえって所要時間は短いくらい。杉並木や古い建物が残っていたりして帰って楽しめました。古い街道の旧道を走るのはなかなか楽しいです。

家に帰りついたのは、夜10時近く。昼過ぎに白骨温泉を出たことを考えると、下道だけで来た割には早く着きました。渋滞している高速経由とあまり変わらないかもしれません。連休前半、気ままで充実した旅になりました。